Discordはもともとゲーム向けのメッセージング・チャットサービスとして登場しましたが、現在では一般的なSNSとしても広く活用されています。しかし、Discordにおける一つのリスクが最近明らかになりました。「Spy.pet」というスクレイピングサイトが、Discordから40億以上のチャットを収集し、6億以上のユーザーを追跡・検索可能であると主張しているのです。
「Spy.pet」とは
「Spy.pet」は、2023年11月から活動を開始したスクレイピングサイトで、Discordの40億以上のチャットやメッセージを保存し、6億以上のユーザーを追跡、検索できると主張しています。
ユーザーがどのボイスチャンネルに参加しているかなどの情報を追跡し、アーカイブ化して販売しています。その利用料金は、最低でも5ドルからとなっています。
Spy.petの報告によれば、14万以上のDiscordサーバーを追跡し、6億人以上のDiscordユーザーから、40億以上のメッセージを収集しているとのことです。
Spy.petが収集したとされる個人情報
- ユーザーが参加しているボイスチャンネル
- ユーザーのメッセージ内容
- ユーザーが参加しているDiscordサーバー
- ユーザーのDiscordプロフィール情報
法的見解と倫理的な問題
Spy.petの運営手法は、ボットを活用してDiscordサーバーにアクセスし、サーバーのオーナーやメンバーの許可なしに情報を抽出しています。この情報収集には、メッセージの内容とサーバーメンバーの一覧の取得が含まれています。
GDPR(一般データ保護規則)は、EU域内のすべての個人データのプライバシーを保護するための法律です。
この法律では、個人データを収集する前に、その人の明確な同意を得ることが必要とされています。しかし、「Spy.pet」は、ユーザーの同意を得ずにDiscordのチャットやメッセージを収集し、これを有料で提供しているとされています。
これは、GDPRのデータ収集やデータ主体の同意に関するガイドラインに抵触する可能性があります。
次に、提供される情報が有害な目的で利用される可能性についてです。
具体的には、Spy.petが提供する情報は、ハラスメントやストーカー行為、不正なマーケティング行為などに利用される可能性があります。
例えば、特定のユーザーのプライベートな会話を盗み見たり、そのユーザーを追跡したりするために、Spy.petの情報が悪用される可能性があります。
また、不正なマーケティング会社が、ユーザーの興味や行動を分析するために、Spy.petの情報を利用する可能性もあります。これらの行為は、ユーザーのプライバシーを侵害し、その安全を脅かす可能性があります。
そのため、Spy.petのようなサービスは、倫理的な問題だけでなく、法的な問題も引き起こす可能性があります。
Discordの対応
Discordは現在、この問題について調査中であり、適切な措置を取る予定です。
Souse/Rocket Boys:Spy.pet